親知らずが神経に近い時の2回法という手法を知っていますか??BLOG
2024/08/29
こんにちは!『家族みんなのかかりつけの歯医者さん』小倉南区下曽根のたんぽぽ歯科・矯正歯科の院長の吉用です。
今回は
『親知らずが神経に近い時の2回法という手法を知っていますか??』
という内容でお話ししたいと思います。
『親知らずが神経と近いので大学病院へ紹介します』と言われた方や
『親知らずが神経の近くにあるからウチでは抜けないね』と言われた方もいらっしゃるのではないでしょうか??
上の写真は今回、2回法で抜歯を行った症例ですが、こちらは赤で示す親知らずの根っこが黄色で引いている顎の骨の中を走る下顎神経の枝となる下歯槽神経という神経に完全にぶつかっていました。
この神経は下唇やその周辺の感覚、歯の感覚の神経となっています。
当院ではこのようにレントゲンで神経と接触している、あるいは重なっている場合、CTの撮影を行い、神経との位置関係を確認しております。
というのも、下歯槽神経を損傷してしまうと、下唇の感覚が麻痺あるいはしびれが残ってしまう可能性があるからです。
このようなリスクが高い親知らずを抜歯する必要がある場合には、当院では2回法による抜歯、あるいは口腔外科のある病院歯科や大学病院等での抜歯を紹介することとしております。
そんなリスクのあるような親知らずであっても、抜いた方が良い場合もあります。
過去のブログで、抜いた方が親知らずについて、詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
●親知らず抜歯における2回法の流れ
① CT撮影
パノラマレントゲンにて神経と親知らずが重なっている、接触しているなどの疑わしい写り方をしている場合にはCTの撮影を行います。
CTにて神経との接触を3次元的に確認し、神経の損傷リスクがある場合には2回法を推奨、あるいは紹介をさせていただきます。
↓
② 抜歯当日
CT上で、親知らずが動けず、引っかかている部位を確認し、その部位の歯の頭(歯冠)を除去します。
↓
③ 消毒、抜糸
↓
④ 6ヶ月の経過観察
引っかかった部分を除去した親知らずは術後6ヶ月が最も動きます。6ヶ月後に抜歯前と同じ方法でレントゲンを撮影し、移動しているかを評価します。
↓
⑤ 安全を確認後、残された親知らずを抜歯
神経と親知らずの距離が離れ、神経損傷のリスクが下がったことを確認し、残された親知らずの根っこ(歯根)を抜歯していきます。
それでは、実際に2回法で神経の損傷を回避することができた症例になります。
38歳の女性ですが、左下の親知らずが一部のみ歯茎から頭を出していましたが、その部分の歯茎が炎症を起こしたため、痛みが強く抜歯の必要性がありました。
パノラマレントゲン・CTにおいて神経が完全に親知らずの根っこ部分により圧迫され、神経が少し湾曲するほどの状態でした。
通常通り抜歯を行うと、唇の麻痺やしびれが生じるリスクがあるため、2回法を行うこととしました。
親知らずの頭の部分を青で示す骨が覆い被さっていたため、引っかかり出て来れなかったようです。
そのため、引っかかっている歯の頭の部分を緑の線で示す位置で除去しました。
抜歯後、3ヶ月は問題なく経過していたのですが、4ヶ月経過した頃より親知らずの知覚過敏が強く出てきてしまったため、レントゲンにて移動の状態を確認しました。
すると、神経の圧迫は解除され、湾曲も治ってきていました。
神経と親知らずは離れ、3〜4mm程度移動していることが確認できました。
安全に抜歯できることが確認できましたので、少し早い段階ではありましたが、親知らずの残りの部分を抜歯しました。
抜歯後は唇の感覚も問題なく、親知らずが無くなったため、知覚過敏の症状も改善しました。
もう1つ見てもらいましょう🎵
26歳の女性です。
こちらの方は完全に横を向いて生えていた親知らずでした。
歯茎の腫れを繰り返していたため、抜歯を希望されていたのですが、レントゲン上、神経と親知らずが重なって見えるため、CTにて確認を行いました。
すると、神経が圧迫されている状態になっていたため、2回法で行うこととなりました。
親知らずの頭の部分が手前の奥歯に引っかかってしまっていますので、緑色のラインで切断し、除去を行い1回目を終了としました。
その後、症状もなく推移して、6ヶ月の経過観察を行いました。
レントゲン上もしっかりと移動してくれ、神経との距離を確認できましたので、抜歯を行うこととなりました。
抜歯後は神経症状もなく、順調に経過してくれております。
●2回法の2回目で完全に抜歯を行うタイミング
引っかかりを取り除いてから、最初の6ヶ月が一番移動してくれます。
ですので、6ヶ月を経過した、あるいは親知らずに何か症状が現れてしまった段階でレントゲン写真を撮影し、移動の状態を確認します。
●2回法の副作用
・動かない可能性
・知覚過敏
・親知らずの内部の神経の痛み
・処置部位の感染の可能性
・完全に抜歯を終えるまで物が詰まりやすい
●2回法推奨の年齢
35歳〜40歳以下の年齢の方
2回法では親知らずが引っかかりがなくなって、動いてくれる必要があります。
年齢が若ければ若いほど歯が動く可能性が高いと言えます。
しかし、40歳前後を境にあまり移動してくれなくなり、2回法の効果が得られない可能性があります。
●2回法の費用
保険診療にて行えますが、2回それぞれに抜歯の費用がかかります。
動かない可能性はありますが、先ほど紹介した方のように親知らずが移動してくれると、唇のしびれが残ってしまうという、生活の質に大きく関わる問題を起こすリスクを下げることができます。
万一、動かない場合には、歯根だけを残してしまうという手段をとる場合もあります。
神経を損傷して唇の痺れが残ってしまうくらいなら、完全に抜歯しなくても、感染を起こさないようにしてしまうのも大事な選択肢になり得ます。
親知らずのことでしたら遠慮なくご相談ください。
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
家族みんなのかかりつけの歯医者さん
たんぽぽ歯科・矯正歯科
院長:吉用 卓(よしもち たく)
国立大学 長崎大学歯学部出身
日本顎咬合学会認定医
福岡県北九州市小倉南区沼本町1丁目10-2
HP:https://www.tanpopo-kokura.jp
TEL:093-475-4182
歯並び 審美 ホワイトニング 親知らずのご相談随時受付。
診療科目:一般歯科 口腔外科 小児歯科 矯正歯科
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/